BEST DISC 2015 [25~1]

 

25. Mind Out Wandering / Astronauts, Etc.

f:id:xxbootsstrapxx:20151226084315j:plainToro Y Moiバンドのキーボード担当。 心地よいファルセットボイスと鍵盤。絶妙なソウルフレイバー。個人的には本家より聴きました。1月に一緒に来日してくれるっぽいので前座でもなんでもステージみたいっすね。

 

24. いぬねこ。青春真っ盛り/ わーすた

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本当に申し訳ないんだけど、毎年、これだけは勘弁してください。でも、わーすた、理屈じゃなく良いんですよ。決してネタではありません。まっさらな心でアイスト最高傑作と向き合ってほしい(真顔)。

 

23. EP / D.A.N.

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チル、ダウナー、生楽器、ミニマル。xxbootsstrapxxを構成する四大要素が詰まっていて最高でした。キャッチーでメロウな歌がのっていきながらクラブミュージックをバンドサウンドに昇華しています。エンジニアとして、トクマルシューゴ、蓮沼執太、葛西敏彦(森は生きている)が揃ってるんじゃ良いにきまってるやろ。

 

22. RYUTist HOME LIVE / RYUTist

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やっとRYUTistのアルバムが聴ける幸福よ。いつまでも色褪せないエヴァーグリーンな曲とピュアネスなメンバーが詰まった1枚。本作を傑作たらしめた決め手は、数多くのライブで歌い込んできて、しっかりと歌をものにした4人が、聴く者のハートをつかんで離さないということ。来年は新潟いくぞ~

 

21. 4 Walls / f(x)

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今年のSMではベストでしょ。ディープハウス系EDMにチャレンジしてばっちりハマッった感じですね。シンセポップやラウンジミュージックなど幅広いエレクトロニックサウンドが聴けるのも良い。でも、「Hot Summer」みたいな明るいトイポップな路線も好きだったりするので来日公演が楽しみ。

 

20. The Sound Sounds.  / TWEEDEES

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ポスト渋谷系と謳われていたCymbalsの元ベーシスト、沖井礼二が女優の顔も持つ新進シンガーの清浦夏実と始めた新バンドTWEEDEESのデビュー盤。ノスタルジックかつノーブルなポップスが満載…と思わせ、実はサウンドそのものはロッキンかつ相当にエッジが立ってたりする。ある意味、過激な試みを洒脱に聴かせるセンスは流石。ジミヘンのコピーなんか絶対誰がやってもこんな感じに仕上げられないんだよな。涼やかな歌声の魅力とともにふたりが仕掛けた小粋な遊び心を是非。

 

19. B4.Da.$$ / Joey Bada$$

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 「1999」ミックステープの時は17歳。当時から90sマナーのヒップホップを展開してきたPro EraのJoey Bada$$。現在、20歳。NaSIllmatic」をリリースした時はも20歳って聞いたときはテンションあがるよね。90sアンダーグラウンドヒップホップを踏襲した渋いトラックが多く飽きのこなそうな落ち着いたトラックに乗るラップは多彩。フローも声質も中毒性あります。スムースにもレゲエっぽくもがなり声も出せるし歌っぽくラップもかませる。リズム感が抜群なんですね。個人的には、「Illmatic「BlackStar」に続くニューアンダーグラウンドクラシック。

 

 

18. Your Face / Venetian Snares

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カナダ・ウィニペグ出身のブレイクコア・アーティストAaron FunkによるプロジェクトVenetian Snaresの新作。お得意の超高速ビートと、アシッド音を全面に押し出した変態ブレイクコア・サウンドが詰め込まれた期待通りの内容。ゴスからエキゾまでなんでも飲み込んでハードコアにブン回すその才気はホント衰え知らずっすわ。終始ずっとキマれます。

 

17. Wake Up, Best! / Wake Up, Girls!

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 アニメ『Wake Up, Girls!』の文字通りベスト盤。「タチアガレ!」「7Girls War」「シャツとブラウス」などの主題歌は基本スタンダードなアイドルソングとして機能し後半になるとEDMや演歌、ミュージカル、トイポップとサウンドのふり幅が一気に広がり飽きさせない。キャラソンでもあるニャル子さんの曲まで入っていてアニソン盤として充実度は群を抜いて高いです。アニソンはどうも、、、と思う音楽好きの皆さんも騙されたと思って、、、ラブライブ等のアイドルアニメの入門編としてもおススメ。

 

16. tick / LONGMAN

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愛媛のパンクバンドの2枚目。シンプルなことをシンプルに鳴らしていることがまず最高。男女ツイン・ヴォーカルの3ピースならばメンバーひとりが担う役割の数は多いはずなのに、難しさや複雑さといった印象を聴き手に一切与えない。カラッとしたテンションの中でキメのひとつひとつがスコーンと決まっていく様子が潔く、非常に爽快でキラキラし、とにかく押し寄せるエモの波がすごい。アイドルの煌めきのそれを凌駕する女性ベースボーカルさわさんの心地よく疾走するパワーポップは推しジャン必須(猛爆)。メロコア46、2015年ぶっちぎりのベストアクトです!

 

15. Year of the Hare / Fucked Up

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トロントのハードコア・バンドFucked Up収録曲2曲のみとなる新作EP。20分に及ぶ1曲目「Year of the Hare」は、彼らが2006年から取り組んでいる中国の干支にちなんだシングル・シリーズ『Zodiac Series』の一環で制作された曲で今回は”ウサギ”がテーマとなってるそう(全然ピンとこない)。激しくて、がさつなハードコア・サウンドに、アップリフティングとも言えるほどの高揚感を加えてくれるところがいつもの最高なFucked Upを詰め込んだキラーチューンで年間ベストトラック級のエクスペリメンタルっぷりで脳汁やばいっす。

 

14. paradise lost, it begins / 吉田ヨウヘイgroup

f:id:xxbootsstrapxx:20151226082959j:plainジャズ、ソウル、ファンク、エクスペリメンタル、オルタナティヴなど様々な音楽を取り込み、超高密度に"吉田ヨウヘイgroupの音"として音像化することが今作では試みられている。そういった意味では、極めて実験的とも言えるし、リズムやグルーヴの面では肉体性が増したロック的な作品と言ってもいいのかも。何度聴いてもその全容を掴みきれない、音楽的好奇心をくすぐられるオリジナリティ溢れるポップスが聴けるバンド史上最高傑作。あと、鍵盤のreddamさん(かわいい)が多分ギターとデキてるっぽくてライブいくと異様に興奮します。(すぐ消す)

 

13. Chiryu-Yonkers / C.O.S.A

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THA BLUE HERBILL-BOSSTINOと、TOKONA-Xの才能を合わせ持つような、力強い存在感。独特の訛りを感じるワードチョイスや発声も中毒性抜群でめちゃくちゃ真似したくなります。全編パンチラインの"知立Babylon Child"はラッパーの感情がダイレクトに伝わってくるならば嘘も誇張も許されるし、これこそがリアルだと思わせました。CampanellaもそうだけどRAMZAのトラックはエレクトロニカヒップホップだったりLAのビートメイカーにも通ずる作風でもありながら現場感あるヒップホップにきっちり落とし込んでてマジ天才かよと。早くライブいきたい。

 

12. FOLLOW ME UP / 坂本真綾

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真綾さん曰く、「幕の内弁当」のような、前作の「コンセプトアルバム」とは全く異なったアルバムに仕上がっています。シングル曲が多めですが、曲数は15曲あるし、曲順も前半はシングル曲とアルバム曲が交互に並ぶような構成で、アルバムのセオリーをうまくなぞったような曲順になっています。原点回帰のアニソンロックや菅野よう子坂本慎太郎×コーネリアスと20周年に相応しいバラエティに富んだラインナップ。
その中で、印象に残るのは、いつも通りの真綾さんの声の美しさと、素敵な歌詞。今回のアルバムは、すっと入ってくるような歌詞があるのが一つの特徴のような気がします。何より、ソングライターとしての真綾さんが手がけた楽曲がアルバムの根幹を担っているのが素晴らしいです。

 

 

11. Tuxedo / Tuxedo

f:id:xxbootsstrapxx:20151226083406j:plain 80'sエレクトロ・ファンクを今っぽいR&Bの再構築。メイヤー・ホーソーンとスヌープや50 セントのプロデューサーであるジェイク・ワンとのコラボレーション。マーク・ロンソンのUptown Specialと同様の試みだけど、コンセプトの統一感は此方が上。メイヤーのソウルフリークぶりが微笑ましいソングライティングも充実。かつてのブラックコンテンポラリーのフェイク調ジャケットアートにもニヤリ。作り手の思いが過剰に投影されずに、さらっと聴けて気持ちよく踊れるこのカジュアルさが良いんすよね。

 

10. 1集 - Dark&Wild / 防弾少年団

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 韓国の人気ヒップホップボーイズグループ防弾少年団 (BTS)の1st。ストレートなラップとパワフルなボーカルが絶妙のコントラストをなすハイブリッドなロックなナンバーが中心で流行りのトラップやメロウジャズもカマしていてヒップホップ好きにも納得の内容。ポップスとしてのキャッチーな緩急を上手く突いているのとダンス好きの中高生が好むLDH的なバイブスのバランス感がBIGBANGとは違う側面からのアプローチですごく面白かったです。あと絶妙なダサさもグッときたところ。サマソニでのパフォーマンスも結構格好良かったな。尚、これ以降のカムバック盤はSMに寄せまくるトラックで正直ゴミです(冷静)。

 

9. Past Present / John Scofield

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今回のメンバーがなかなかすごい。90'sのリユニオンでジョー・ロヴァーノ(ts)とジョンスコの双頭で、リズム隊はラリー・グレナディア(b)とビル・スチュワート(ds)と黄金時代のメンツで胸が熱い。もっともジョンスコのギタープレイ自体は全盛期と比べ60点のデキ。特にワイルドな奔放さやエネルギー感がめっきり落ちている。ただリズムがルーズで独特のラフな味わいがある点は昔と同じ。なによりアルバムトータルの価値としては90点をつけてもいいだろう。楽曲がいいし、アルバム全編に明るく楽しいムードがあふれているのが最高。今まで本格4ビートやフュージョン、ファンク、ジャムバンド路線とあれこれ目先を変えながらやってきたけど、本作のようなシンプルでストレートに楽しめる王道路線に絞った「やっぱ、ジョンスコはこれだなー!」といった感じの作品で純粋に嬉しかった。

 

 

8. Yume / Helios

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今年のベストオブチル。Keith KenniffのHelios名義での作品。MerckでレーベルメイトだったTychoとどこか共通するアトモスフェリックな美しいメロディーにミドルテンポのビート。名作「Eingya」の世界観をもう少し開放感あるものにした感じを受けたんですが、なんにせよ、気持ち良い旋律のパターンがこれでもかと放り込んでくる。シンセによって生み出される幻想的なストリングスと、エレガントにきらめくピアノやアコーステックギターが切ない旋律を折重ね、そこにゆったりとしたダウンビートが心地よさと、高揚感を刻んでゆく。今年幾度となく眠れぬ夜をサポートしてくれました。ポストロック好きにもおススメ。

 

 

7. Sound & Color / Alabama Shakes

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フロントマンのブリトニー・ハワードが同い年でだいぶ笑っちゃうんですが、ロックンロールの歴史に刻まれるであろう大傑作をだしてきて爆笑しました。ハワード嬢の素晴らしくソウルフルなボーカルと荒々しいシャウトで、その手のロック好きのハートを鷲掴みにしたのではないかと。実際、音は最高。ギターの鳴りは言うに及ばず、それ以上にフレーズの一つ一つがいちいちキマっている。フェスでの映像を見ても確かに演奏も上手でいちいち格好いい。でもそれ以上にフレーズの一つ一つの美しさに聴きいっちゃうんすよね。黒いジャケットが象徴するように、重心をグッと低くしたリズム隊のグルーヴに、ソウル・ファンクの要素を大きく取り入れたギターリフの絡みが、より黒っぽいサウンドを産み出しています。このジャンルで全米1位はダテじゃない。苗場でみしてくれ~~

 

 

6. Obscure Ride / cero

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「Yellow Magus」以降、いわゆるネオソウル的ブラックミュージックへの傾倒を深めていったのは周知の通り。今年は国内外でネオソウルが一つのトレンドでしたが、彼らの音楽的興味と時代の音が重なった瞬間が一番琴線に触れました。黒人音楽特有の律動するリズムを体現する一方で、歌詞によって胸の深い部分にまで揺さぶりをかけてくる本作はグルーヴとエモーションの高次の調和を実現し、僕が思う所のソウルミュージックの最良の形を示してくれました。「Summer Soul」を聴いて過ごせた最高の夏に感謝。

 

 

5. To Pimp a Butterfly / Kendrick Lamar

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黒人音楽によるポップスのアップグレード、同時に悲しくも顕在化した黒人と白人の差別意識にまつわる闘争、こうした状況において「物語を読む」音楽であるヒップホップからの返答。コンプトンを取り巻く様々な背景云々というより、ロック好きの僕がヒップホップでここまで心揺さぶられたことが何よりの事件。トータル80分もある大作ながら1曲も捨て曲なくすんなりと聴けるのは見事だと思います。まだヒップホップとは何かという知らない人でもおすすめできるし、ヒップホップ嫌いな人でもジャズアルバムとして聴けることもできるからすごいよな。先日みた「ストレイト・アウタ・コンプトン」じゃないけど、N.W.A.に通ずるカリスマ性や説得力、西海岸の新しい王者として歴史を再編させるパワーを感じました。

 

4. Star Wars / Wilco

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新作のタイトルwww しかも無料DLてwww ナメくさったタイトルとジャケ(可愛い)ではあるが、これがとんでもなく傑作。Wilcoの良いとこどりというか、総決算。リフものあり、実験精神溢れるものもあり、キャッチーなナンバーもあり、トータルタイムが長い傾向にあるWilcoが全部で34分しかないというのも聴きやすいポイントで、一切の無駄がないということ。変拍子やノイズも交え、00年代前半に追求していたプログレッシヴなバンドアンサンブルにアプローチしながら、それをポップスとしても楽しませることができるのが今の彼らなのではないでしょうか。猫派なのでフィジカルリリース速攻で買いました。

 

 

3. Blue Avenue / 花澤香菜

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今回もヘッドフォン必聴の声質を大事にしたマスタリングで声豚歓喜。正直、今作のシングル曲は割と大したことないのですが、日本でここまで全曲安定したポップスを出せる歌手はなかなかいない。今回はNYをコンセプトにしたようで、1曲目から、ベースがウィル・リーに、ドラムがスティーブ・ジョーダンという、このクレジットみただけで笑ってしまった取り合わせ。北園みなみの曲も入っていたりでそういう意味ではアルバムとしての遊びといった解釈をすると納得がいく。シリアスさを感じる大人しいナンバー「Trace」、ダンスミュージック全開な「ほほ笑みモード」など完全に彼女のイメージからは逸脱するような曲も並ぶけど、「ブルーベリーナイト」「タップダンスの音が聴こえてきたら」あたりはどっちかというと花澤さんっぽさを感じるかな~。ジャズもAORも行き過ぎないおかげで最大の特徴である花澤さんの可愛らしいヴォーカルを最大限に活かす本質の部分を聴いてほしい。来年も花澤香菜さんでガチ恋拗らせていけそう。

 

 

2. Poison Season / Destroyer

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The New Pornographersのフロントマンにして中心人物の一人であるDan Bejarによって立ちあげられたプロジェクト。AORの精神を宿した彩り鮮やかなインディポップスを基本にサックスを多様したジャジーな大人感やディスコ風のシンセを大々的に取り入れた懐かしい哀愁香るノスタルジックミュージックの傑作。しかし「Kaputt」にて確立したドリーミングな哀愁ロックの解放感だったり、極上のポップセンスは健在。前作「Kaputt」をより一層ブラッシュアップさせた大名盤。TIFとかやってた最中にリリースされたのもあって、アイドルみてハイになった後、一気にクールダウンさせてくれたの最高にチルい思い出。

 

1. YELLOW DANCER / 星野源

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ある日の日比谷公園、小学校低学年ぐらいの姉妹が手を取り合いスキップしながら「SUN」を歌っていた光景が忘れられない。結局のところ、本作は日本版『Random Access Memories』なんすよ。ソウルやディスコミュージックをモチーフにし、まさにEDM化したJ-POPへのカウンター的作品。そして、CDが売れないこの時代に10万枚以上を売り上げ、オリコン1位を取ったことはこのカウンター的な役割が見事に成功したことの何よりも証ではないだろうか。ブラックミュージックをキーワードとしてケンドリックやマークロンソン、ceroと言った良作が世界各国から黒人、白人、黄色人種関係なくリリースされました。そこに日本の文化であるJ-POPとブラックミュージックの融和点を見つけ出し、きちんと回答を出した本作も同じように語られるべきで、それらを凌駕する作品です。今年を象徴する一枚。ありがとう、星野源