will comply 〜シカゴの風は心地よい〜

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2013 4.12 @ZEPP Diver City 約2年ぶりにWilcoを観た。



2011年のフジロックではグリーンのザ・ミュージックを観るため半分くらいしか聴けなかったのでフルでライブを観るのは今回が初めてでした。





結論から言うと、もう最高に最高。23年間生きてきた中でのベストライブかもです。コーネリアススーパーカーOASISOrbitalにNIN・・・学生時代に観た興奮と感動を全て更新していく勢い。





会場には開演2分過ぎてから到着するもまだ始まっておらず一安心。周りを見渡して吃驚。おじさまおばさま現場かと思ってそれなりに落ち着いたスタンスで会場入りしたが、僕より年上の20代後半から30代前半のオーディエンスが半分を占めていた。意外にも若者が多くて平日にも関わらず音楽に敏感な同世代が集っている空間に妙な高揚感を覚えた。





10分押しでバンドメンバーが登場。オリジナルメンバーのJeffとJohnくらいしか認知しておらずコールが乏しかったのが心残り。いかにも地味で田舎くさい雰囲気が漂うメンバーだがどこか格好いい。赤を貴重にした照明に照らされる彼らは本当に格好よかった。ドラムはかなりボリューム抑えめで、チューニング、ミュートの具合も落ち着いたサウンドにしてあった。それでも決して土臭くないし、音がズシンと耳に飛び込んでくる。Jeffのアコギは全然倍音とかは鳴っていなくて、ボコボコした音だったし。それでもきちんとしたサウンドデザインになっていて、その存在感の意味合いはあったと思う。思いっきりバンドっぽい構成でくると構えていたら、例えばエレピをすんごい歪ませたりしちゃったりして、すごく実験的だった。時にはノイジーにエクスペリメンタルに変幻自在なサウンドを展開して、曲ごとにそのアルバムの世界観を見事に再現していた。





印象的だったのは、2曲目の”Art of Almost”僕にとってオルタナカントリーのカテゴリに留まっていたWilcoをロックでも魅せることもできるんだぞと打ちのめされた1曲。主にこれが収録されている新譜『The Whole Love』からの選曲が多かったかなぁ。最近はスタイルに貫きつつもクラシックポップで彼らの風土に基づいた温かみのある曲が増えてきて、実験的でも耳障りが心地良い。終盤は結構アゲぽよな感じで攻めてきて所謂、合唱曲的な"Via Chicago"とかもなかったものの非常にライブ感あるセトリで満足度が高かったです。(ないはないで物足りなさもあるがw)





本当に演奏が素晴らしくていかにもアメリカのバンド!って感じでギターヒーローっぷりがヴィジュアルに似つかわずでアメリカっぽかった。プレイの格好良さで気持ち良くなれたり感動するっていう体験はあんまりなくて、揺れることメインで音楽を興じてきた僕にとってはある意味、次元が狂ったようなサイケデリックな感覚でした。ディランやクラプトン、メセニーにジョンスコといったライブでも、ここまでノルアドレナリンが活発化したのもなかったので、単純にこれまでの観てきたミュージシャンが偏っていた訳でもないと思う。間違いなく彼らはロック。オルタナカントリーやフォークよりやっぱりロック。





元々彼らの出身地シカゴはミシシッピ川流域で発生したアコースティックなブルースにエレキなどを導入して「シカゴ・ブルース」だったり、「ハウス」という言葉の起源の地であったり、現在ではシカゴ音響派と呼ばれるジャズ、ロック、ポップス、現代音学が一緒になった、「ポストロック」のメッカでもあったりしてマンチェスターに匹敵するミュージックタウンでもあるからこのバンドの登場は必然的だったのかもしれない。あらゆる側面を持ち合わせているから深いところで暖かさがうまれてくるのかなぁと思ったり。





ライブ中のオーディエンスはみんな物凄くリラックスして思い思い自由にでも集中して楽しんでいたようにみえた。それはフェスのような開放的な空間での楽しみ方とは違う、ひとりひとりが自らのストーリーに浸るような。ステージ上にもフロアにもその空気があって本当みんなが幸せな気分になれる良い雰囲気のライブだった。こんな気持よく音を感じて余韻を楽しめたライブはそうないでしょう。Wilcoは知名度的に日本人にはどうなのよ?ってとこありましたが、少々過小評価し過ぎてたようだ。耳の肥えたリスナーは勿論、若い人達にも支持されている。いまネットを介せばさまざまな音楽に触れるようになって趣味も感性もそれぞれ百人十色だが、僕はWilcoに辿り着くことが出来て本当に良かった。脈々と受け継がれてきたロックの系譜、その最先端がWilcoなんじゃないか。そう思えるほどに珍しく陶酔した夜でした。











Wilco



Jeff Tweedy(Vp.、Gt.)

John Stirratt(Ba.)

Nels Cline(Gt.)

Glenn Kotche(Dr.)

Pat Sansone(Key.、Gt.、Per.)

Mikael Jorgensen(Key.)







【Setlist】



1. Less Than You Think

2. Art of Almost

3. I Might

4. One Wing

5. Sunken Treasure

6. Spiders (Kidsmoke)

7. Impossible Germany

8. Born Alone

9. Radio Cure

10. Sky Blue Sky

11. Say You Miss Me

12. I Must Be High

13. Whole Love

14. Theologians

15. Heavy Metal Drummer

16. Dawned On Me

17. Shot in the Arm

18. Hummingbird



アンコール:

19. California Stars

20. The Late Greats

21. I'm the Man Who Loves You

22. Monday

23. Outtasite (Outta Mind)