2012年度映画鑑賞記録?

今年になってから劇場でみた映画をまとめてみた。


・『ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル

・『Jエドガー』

・『ヒミズ

・『Documentary of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』

・『ALWATS三丁目の夕日'64』

・『ベルセルク 黄金時代篇? 覇王の卵』

・『ドラゴンタトゥーの女

・『メランコリア


今年に入ってからは卒論、就活、現場と

色々忙しかったのですが時間をみつけては映画館に立ち寄ってました。

おかげで週に1本はみれました。

観た作品がどれも良かったのでちょっとピックアップして紹介します。


メランコリア

ダンサー・イン・ザ・ダーク」「アンチクライスト」の鬼才ラース・フォン・トリアー監督が、巨大惑星の接近で終末を迎えつつある地球を舞台に、人々の孤独と絶望、魂の救済をひとつの家族の花嫁やその兄弟の心理状態とリンクさせたヒューマンドラマ。ついさっきみてきました。

地球と巨大惑星メランコリア。ふたつの天体の軌道が重なる。前途を失う馬と人間。狂いだす磁場と重力。本篇に先がけて超スローモーションで描かれたプロローグは圧倒的な美しさをもっていた。全編に流れるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の優雅なメロディや、絵画のようにシュールで美しい構図は、まさにアートと呼ぶにふさわしい。破壊的にもかかわらず、不思議な幸福感に包まれるラストもまた、印象に残る。もっとも話そのものはミもフタもない上に、2部構成で冗長。技巧的な語り口は面白いが、終始ダラダラとしていた。そこは主演のキルスティン・ダンストが見事な演技力でカバーしていた。

監督がハッピーエンドと語る衝撃的なエンディング含め、他に類を見ない不気味な映画であることは間違いない。 映画を見て楽しくなりたい、面白いものを見せてもらいたい。そういう人には不向きだが、ほかでは絶対に味わえないアクの強い作家性。頭のネジがとんだ天才の作り上げた映画を見たい、という方がいたらこれ以外の選択肢はない。0か100か、評価が分かれる作品と思うが、個人的にはかなり高く評価している。




ヒミズ

とんがった表現を次々と発表し、業界関係者の評価がすこぶる高い園子温監督の最新作『ヒミズ』は、良くも悪くも評価が真っ二つに分かれるであろう問題作。ファーストカットのどこまでも続く津波による被災地の爪痕。映画の中で時折、テレビを通して流れる原発放射能の影。この震災の状況を端的に表している。園子温監督の前作「恋の罪」は、女性の倒錯した内面を大胆に描いていたが、今回の「ヒミズ」は、抑圧された青春の憤りを、震災から立ち上がろうとする人々のエネルギーと絡めて描いている。震災を扱った点も含めて、映画史に残る作品だと思った。
しかし、あくまで個人的だが、この映画の被災地の映像は到底受け入れられないものであった。それらの景色が発する断固たる現実の重みが、その手前で繰り広げられる芝居のやりとりのあまりの軽薄さを断固拒否しているように見えた。これみよがしに被災者たちと登場人物を重ねるようなエンディングもしかり。確かに日常を失った、その日常を取り戻すのを切望するという意味では両者は似ているようにも思えるが、ふつうに考えてこの子供たちと被災者の苦悩をリンクさせるのはいくらなんでも無茶に過ぎた。

主演の染谷将太二階堂ふみの演技に関しては目を見張るものがある。叫びや嗚咽のシーンが目立ったが評価すべきはそこではなく終盤のポジティブな思考に変化してゆく時の表情が心揺さぶった。

映画は暴力と泥水ばかりを描く。男も女も関係ない。殴る、蹴る、叩く、そして殺す。・・・気持ち悪くなる。貧困と暴力。それしかない。暖かさは皆無、ひたすら寒い。暗い。汚い。そんな絶望のなかで愛と希望を見出すプロセスが青春群像として描くアイデアは面白い。近々原作を読むことにする。

ドラゴンタトゥーの女

スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラーを映画化したスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」を、奇才:デビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。まずオープニングロールだ。タイトル・デザインのCGアートがとてつもなく魅力的だ。女体と交接とスカルが黒のメカニズム、黒い流体のエロスとして炸裂する。思うにこれはまさにスウェーデンが唐突に生み出した暗鬱かつ健気な世界的ヒロイン=リスベット・サランデルの肉体と心理の黒々としたビジュアルだ。 個人的にも大好きなナインインチ・ネイルズのトレント・レズナーがプロデュースした今作のサントラは恍惚そのものだ。ツェッペリンの「移民の唱」のリアレンジはこのオープニングロールと相俟ってダークでバイオレンスなミステリーの序章を飾った。

オリジナル版をしのぐ良作となった第一のポイントは、多くのアメリカリメイク版が無理やり舞台をアメリカに置き換えるのに本作は原作のスウェーデンは「ヘーデスタ」をそのまま舞台とし、現地ロケを敢行していること。原作の持つおどろおどろした血は北欧の風土のものであり、間違ってもアメリカのものではないからこれは大正解だった。暗く凍てつく冬の北欧風景が、ミステリアスな感じをさらに助長させ、この恐ろしい物語の舞台として、言葉を失うほどに美しい風景を大いに役立てている。
第二にキャストである。ダークなヒロイン・リスベットに「ソーシャル・ネットワーク」に出ていた若手のルーニー・マーラを大胆に起用した一方、ミカエルにはアメリカンに見えない、の有名ボンド俳優ダニエル・クレイグを配置した。オリジナル版のミカエル・ニクヴェストに比べ、より精悍で男の色気ムンムン、スマートで行動派なミカエルになった。また、社会に対し敵意をむき出しの孤独なハッカー・リスベットだが、今回のリスベットはよりイノセントで感情を忘れた女性のように登場する。そんな彼女が時折すごくノーブルな美しさを感じさせる点が大きく違う点だ。これは、ルーニー・マーラが本来的に持つ美しさからかも知れない。過激な暴力、性描写を抑えることなく全てを受け止めたルーニーの演技は圧巻の一言。アカデミー賞は確実であろう。

これだけドギツくてボリューミーな内容にも関わらずスタイリッシュかつロマンシズム溢れる展開で時間を忘れ、あっという間の158分だった。続編に期待せざるを得ない。



みた中では『ドラゴンタトゥーの女』がベストですね。


今年は良作の映画が多いので、劇場に足を運び日が多くなりそうです。


批評家気取りのブーツストラップでした。